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平成21年度 東海目録研修会・ユーザー会報告


開催日:2009年8月25日(火)
場 所:名古屋第一赤十字病院会議室1・2 
    http://www.nagoya-1st.jrc.or.jp/

参加者43名 東海目録会員25機関28名 予備会員1名 協力会員1名 その他5名
        東海地区医図協正会員2名 講師1名 WG4名 協議会事務局1名
テーマ 
病院図書室業務の基礎講座シリーズ その5:病院図書室の利用者教育

今回の基調講演は、国立国際医療センター図書館の岩下愛氏にお願いした。
講演者が勤務する病院は885床、医師400名(内初期研修医90名)、看護師600名で、図書館スタッフは常勤2名である。
資料はこちら「病院図書室の利用者教育-当館での実践から-」(PDF 749KB)。オリエンテーション以外に、PubMedや医学中央雑誌の文献検索、さらにRefWorksの使い方など、多岐にわたっており、充実した利用者教育がなされていることが伺われた。それでも、参加者が少ない、研修の中級プログラムの不足、利用方法やサービスが浸透しない、ニーズの調査不足などの問題点があるといわれ、常に前進しようとする姿勢が感じられた。

 質疑応答
Q:看護師への説明会で、医学中央雑誌とJDreamの使い分けはどのようにしているのか?
A:システムも検索方法も異なるので、両方覚えるのが大変。使い勝手や利用度から医学中央雑誌を選択。看護研究のテーマなどを持つ個別のサポートには、JDreamも紹介している。

Q:電子ジャーナルと印刷体は、どのような方針で契約しているのか?
A:EJは約3,000タイトル、印刷体は和250タイトル、洋90タイトルで、これには寄贈タイトルが含まれている。基本的にはEJを優先し、EJか印刷体のどちらかを購入している。両方でしか契約できないタイトルや、無料でEJか印刷体のどちらかがついてくるものも含む。

Q:電子ジャーナルが充実しており、来館者が少なくなると思うが、図書館の利用状況は?
A:レジデントや研修医は院内でPCを利用しにくい。そのため、来館して、図書館内のPCでEJを利用することが多い。

Q:とてもすばらしい利用指導がなされているが、担当者は?
A:常勤スタッフは2名。利用教育も2名で行っている。自分以外のもう一人は昨年7月から。それ以前は半々で担当し、7年間ぐらい続いた。

Q:研究職や職員は勤務時間内での参加希望が多いが、研修の時間帯はどのように決めているのか?
A:時間帯は参加者の希望に合わせている。午後6:30から、午後7時からなど。長さは1時間程度が多い。臨床系は夜の希望が多い。過去の記録は図書館のHPで公開中。

Q:スタッフ間でのスキルの継承はどのようにしているのか?
A:マニュアル作りが苦手なので、計画段階からの詳しい記録を残すことで代用している。よかった点や失敗事例も記載している。本人も1年後には忘れてしまっているため。

Q:研修での検索例題をどのように設定するか?
A:手元の文献を検索して、キーワードをチェックする。センターに所属する医師を検索例とすることもある。仲間同士で蓄積するとよいのでは。中級レベルであればEBM文献のキーワードを使用する。その他、1年以内の文献や英語文献に絞るなど、Limit機能を取り上げる。

Q:上司は医師? それとも事務職?
A:直属の上司は、組織上、運営局長(事務系トップで医師免許取得者)で、図書館長を兼任している。
図書委員長は医師。こうした研修に理解はある。

Q:RefWorksの導入経過は?
A:センターで契約しているので、自宅や院内で自由に使える。パージョンアップする必要がない。日本語もOK。PubMedや医学中央雑誌にも対応しており、論文本文を添付できる。


東海地区の事例報告2題+「東海目録研修会のための利用者教育アンケート」結果報告
●愛知県がんセンター図書室 安田多香子
 研修医向けと看護師向けのパワーポイントを個別に作成しているが、今回はその統合版を作成。パワーポイントの中に図書館の概要やサービスも記載し、自館のHPからデータベースの説明を行っている。
 アンケートの結果報告をした

●名古屋市立東部医療センター東市民病院図書室 河原林喜美子
研修医は、オリエンテーションの中の1コマ、朝9時から1時間。看護師は4日間連続で、午後1時から1時間。医学中央雑誌、JDream、最新看護索引を説明。
時間内にすべての説明をしようと思わないこと、たくさんのことを説明しないことを心がけている。利用者教育のキーワードは利用者の自立。例題を解くなど、実践的なガイダンスは図書館利用への理解を促すよい方法だと思うし、適切かつ継続的な指導が大切だと考える。自分に足りないときは、業者の力を活用するのも一手。「今日の診療」の説明に使用したPPの資料は、業者さんに作ってもらった。他の図書館の資料も有効に活用できる。



昼食後、山田赤十字病院研修センター図書室の小林氏美香子氏が「看護師に必要な図書室サービスと利用教育」(ppt1.74MB)と題して、事例報告された。

小林氏は看護師であり、看護学教員の経験もあり、図書館としては得がたい講師であった。
概要は以下のとおり。
看護学校閉校に伴い、移転した結果、不便な場所になった。ハード的にはどうしようもないため、ソフト面でがんばるしかない。いかにして図書室を利用してもらうかを考え、利用教育を行っている。「組織は人なり」「教育は愛なり」がセンター長や組織のモットー。
当病院の4月採用者の養成機関別人数は、40%が大学卒、55%が専門学校卒。論文研究の経験の有無が異なるため、山田の場合、初心者として最初から利用教育を行っている。
キャリアアップのスケジュールとして、キャリア開発ラダーが設定されており、それに沿った支援がなされている。
看護師は多忙のため、自宅からでも利用できるWebサイトを紹介。忙しい中でも調べるくせをつけて欲しいと願っている。
60年ぶりに法令が改正され、2010年4月から看護師の新人臨床研修が制度化される。今後、いろいろな影響が出てくると思われる。

質疑応答
Q:看護研究はどのようにされているのか?
A:「看護研究」の実態は病院ごとに異なると思われる。認定看護師などのスペシャリストには必要である。

Q:当病院でも認定看護師養成が始まり、オリエンテーションで1コマもらえた。図書館として、どこまでやればよいのか?
A:PubMedまでは知っておいて欲しい。EBMを理解し、資料にあたれるスキルを身に付けて欲しい。



休憩をはさんで、日常業務Q & A (意見交換)と東海目録ユーザー会に入る。
▲EJ商品の代行説明(丸善、紀伊国屋書店、ユサコ、メテオ、サンメディア)
              (図書館システムの北杜社)
▲医学図書館研究会・継続教育コースの案内(主催JMLA 共催JPLA)
 今回の研究会は「もう一度ライブラリアン!」と題し、11月18-20日の3日間、愛知がんセンターと愛知学院で開催予定。研究発表12題。継続教育コースは「文献検索講習中級編」など。JMLA会員以外は少し参加料が高くなるが、大勢の参加を希望。これに伴い、今年度の東海地区医図協実務担当者会議は開催されない。(実行委員の藤田保健衛生大学柿田氏から)



▲ 東海目録のメーリングリストのQ & A から
   EJのアクセス管理について
   (1)IPアドレスは固定IPが必要。固定IP=Global IP
   (2)ユーザーネームとPW(パスワード)
     PWは契約対象外の第三者には教えてはいけない。PWは頻繁に変更すべき。     人事異動で他機関へ動いた人は利用する権利がない。

▲ PubMedからのリンクアウトについて
方法は別添資料(「医学図書館」Vol.49no.2 90-91 PDF4K)のとおり。とにかく、まずNLMにリンクアウトしたいというメールを英文で書くことから始まる。ぜひチャレンジして欲しい。 


 最後に、協議会事務局の愛知医科大学の坪内氏が、「とにかく、種をまくことが第一。自分たちの利用者をよく知ることが大切。利用者教育は図書館の存在意義をアピールする絶好の機会と捉えたい。また、こういう研修会で、仲間との顔合わせをし、お互いに助け合っていきたい」と発言された。

 会議終了後は、名古屋第一赤十字病院の図書室を見学させてもらい、自由解散となった。

 会場を提供していただいた名古屋第一赤十字病院図書室の飯田さん、そして、お忙しい中ご参加いただいた会員の皆様、本当にどうもありがとうございました。

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